管理会社との連携と実務対応 ―法改正を「管理会社任せ」にしてはいけない理由―
管理会社の役割と限界
多くのマンション管理組合では、日常的な管理業務の大半を管理会社に委託しています。清掃、設備点検、管理費の収納代行、理事会・総会のサポートなど、管理会社は管理組合運営の重要なパートナーです。
しかし今回の法改正への対応において、「管理会社に任せておけば大丈夫」という姿勢は危険です。
管理会社はあくまでも「委託を受けたサービス提供者」であり、マンションの意思決定権は管理組合(区分所有者全員)にあります。
法改正への対応方針の策定、管理規約の改正、所在不明区分所有者への対応など、重要な判断は理事会と区分所有者が主体的に行わなければなりません。
管理会社に確認すべきこと
まず、現在の管理委託契約の内容が、改正後の法令・標準管理規約に照らして適切かどうかを確認しましょう。
特に確認すべきポイント
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 対応業務の範囲 | 管理委託費に「法改正対応業務」が含まれているか(追加費用が発生するか) |
| 名簿の管理状況 | 管理会社が区分所有者名簿の最新化に取り組んでいるか |
| 所在不明者の記録 | 所在不明区分所有者のリスト化・記録管理が行われているか |
| 招集通知の対応 | 改正後の要件(全議案の要領記載)に対応した書式になっているか |
| 規約改正の提案 | 改正対応の規約見直しサービスを提供しているか |
管理会社から「改正対応の説明資料」や「規約改正の提案」がすでに届いている場合は、その内容を理事会として精査することが必要です。
自主管理マンションの場合
管理会社を利用せず自主管理しているマンションでは、すべての法改正対応を理事会が直接担うことになります。
国土交通省が自主管理マンション向けに管理規約見直しに関するお知らせを郵送しているほか、マンション管理・再生ポータルサイトでも情報提供を行っています。
自主管理マンションでは特に、マンション管理士(国家資格)への相談を活用することをお勧めします。マンション管理センターや各都道府県のマンション管理士会では相談窓口を設けており、無料または低廉な費用で専門家のアドバイスを受けることができます。
区分所有者への周知活動
法改正の内容を区分所有者に分かりやすく伝える周知活動も、理事会の重要な役割です。
周知の方法
- マンション内の掲示板への掲示
- 全戸へのお知らせ文書の投函
- 管理組合ニュースレターへの掲載
- 説明会の開催
特に次の内容は、生活に直結するため丁寧に伝えることが大切です。
- なぜ管理規約を改正する必要があるのか
- 総会の決議方法がどう変わるのか
- 所在不明者への新しい対応ルールができた
理事会だけが法改正を理解していても、区分所有者の理解と協力がなければ実効性は上がりません。
✅ 理事会の実務チェックポイント
- 管理会社に改正対応の説明・提案を求め、内容を理事会として精査する
- 自主管理の場合はマンション管理士等の専門家に相談する
- 法改正の内容を全区分所有者に分かりやすく周知する(掲示・投函・説明会)
- 国土交通省のポータルサイト等の公的情報を積極的に活用する
次回はいよいよ最終回。連載全体を振り返り、理事会としての行動指針とチェックリストをお届けします。


