管理組合理事会のための2026年法改正対応ガイドブック 第8回 管理規約改正の手続きと留意点―「いつ」「どのように」改正するかが重要―

管理規約改正はなぜ必要か

改正区分所有法は2026年4月1日をもって全マンションに自動的に適用されます。しかし各マンションの管理規約は、総会決議を経なければ改正することができません。放置したままでは、管理規約の内容と法律の内容に「ズレ」が生じ、総会運営や意思決定の場で混乱が生じるおそれがあります。特に、総会の定足数や決議要件に関する条文が旧来のままであると、改正法施行後にはその部分が法的に無効となります(改正法附則2条3項)。

招集手続きの「タイミング」によって手続きが異なる

管理規約の改正手続きにおいて、最も注意が必要なのは「総会の招集手続きをいつ開始するか」によって、手続きの方法が変わるという点です。

2026年3月31日までに総会の招集手続きを開始していた場合は、現行の管理規約(改正前の決議要件)に基づいて総会を開催し、「本規約の改正は2026年4月1日以降に効力を発する」という旨を併せて決議することが必要です。一方、2026年4月1日以降に招集手続きを開始する場合は、改正区分所有法に基づく新しい定足数・決議要件(特別決議では区分所有者数・議決権の各過半数の出席が必要)を満たして総会を開催しなければなりません。

【招集手続きタイミング別の対応】
【2026年3月31日まで招集開始していた場合】現行規約の要件で総会を開催し「2026年4月1日以降に効力発生」と決議
【2026年4月1日以降に招集開始する場合】改正法の新しい定足数・決議要件を満たして総会を開催

改正すべき主な条文

改正区分所有法に抵触するおそれがある主な条文としては、
①総会の定足数に関する条文(「半数以上」→「過半数」)、
②特別決議の決議要件に関する条文(「全区分所有者・議決権の3/4以上」→「出席者・出席者議決権の3/4以上」)、
③招集通知の記載事項(議案の要領の記載が必須化)、
④招集通知の最短期間(緊急時:「5日」→「1週間」)、
⑤新制度(所在不明除外、国内管理人、財産管理など)への対応条文
などが挙げられます。

自分たちのマンションの管理規約がどの点で改正が必要かを確認するには、現行の規約と標準管理規約の新旧対照表(国土交通省ホームページで公開)を照らし合わせるのが有効です。

専門家・管理会社との連携

管理規約の改正は、専門的な知識を要する作業です。特に自分たちのマンションの個別事情(築年数、戸数、区分所有者の属性、過去のトラブル歴など)に応じたカスタマイズが必要な場合は、マンション管理士・弁護士・管理会社の力を借りることを強くお勧めします。管理会社によっては、改正対応の規約見直しサービスを提供しているところもあります。

また、改正内容を区分所有者に事前に丁寧に説明し、理解と賛同を得るプロセスを丁寧に進めることが、総会での円滑な可決につながります。「なぜ改正が必要なのか」「改正することでどのようなメリットがあるのか」を分かりやすく伝える説明資料を作成することをお勧めします。

【理事会の実務チェックポイント】現行規約と標準管理規約の新旧対照表を照らし合わせ、改正が必要な条文を洗い出す招集手続きのタイミング(3月31日前か4月1日以降か)を確認し、適切な手続きで進める改正内容を区分所有者に事前説明するための資料を作成するマンション管理士・弁護士・管理会社と連携しながら規約改正案を作成する